第9節 理  数

第1款 目  標


 事象を探究する過程を通して,自然科学及び数学における基本的な概念,原理・法則などについての系統的な理解を深め,科学的,数学的に考察し,処理する能力と態度を育て,創造的な能力を高める。

第2款 各 科 目


第1 理数数学I

1 目   標
 数学における基本的な概念や原理・法則を系統的に理解させ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り,それらを的確に活用する能力を伸ばすとともに,数学的な見方や考え方のよさを認識できるようにする。

2 内   容
(1) 方程式と不等式
(2) 二次関数
(3) 図形と計量
(4) 場合の数と確率

3 内容の取扱い
 (1) 指導に当たっては,第2章第4節第2の「数学I」及び第5の「数学A」の内容等を参照し,必要に応じて,これらの科目の内容を発展,拡充させて取り扱うものとする。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,「数学I」の内容の(1)を扱うこと。
イ 内容の(2)については,「数学I」の内容の(2)に加えて,簡単な分数式で表される関数も扱うこと。
ウ 内容の(3)については,「数学I」の内容の(3)及び「数学A」の内容の(1)を扱うこと。
エ 内容の(4)については,「数学A」の内容の(2)のア及び(3)を扱うこと。

第2 理数数学II

1 目   標
 数学における概念や原理・法則についての理解を深め,知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばすとともに,それらを積極的に活用する態度を育てる。

2 内   容
(1) 整式と高次方程式
(2) 数列
(3) 命題と論理
(4) 図形と方程式
(5) いろいろな関数
(6) 極限
(7) 微分法
(8) 積分法

3 内容の取扱い
(1) 指導に当たっては,第2章第4節第3の「数学II」,第4の「数学III」,第5の「数学A」及び第6の「数学B」の内容等を参照し,必要に応じて,これらの科目の内容を発展,拡充させて取り扱うものとする。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,「数学II」の内容の(1)に加えて,最大公約数及び最小公倍数も扱うこと。
イ 内容の(2)については,「数学B」の内容の(1)のア及びイの(ア)を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,「数学A」の内容の(2)のイ及び「数学B」の内容の(1)のイの(イ)を扱うこと。
エ 内容の(4)については,「数学II」の内容の(2)に加えて,円と円の共有点を求めることも扱うこと。
オ 内容の(5)については,「数学II」の内容の(3)を扱うこと。
カ 内容の(6)については,「数学III」の内容の(1)を扱うこと。
キ 内容の(7)については,「数学II」の内容の(4)のア及び「数学III」の内容の(2)を扱うこと。
ク 内容の(8)については,「数学II」の内容の(4)のイ及び「数学III」の内容の(3)に加えて, は定数)程度の簡単な微分方程式の意味と解法も扱うこと。

第3 理数数学探究

1 目   標
 数学における概念や原理・法則についての理解を広め,知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばすとともに,課題研究を通して探究的な態度と創造的な能力を育成する。

2 内   容
(1) ベクトル
(2) 統計とコンピュータ
(3) 数値計算とコンピュータ
(4) 行列とその応用
(5) 式と曲線
(6) 確率分布
(7) 統計処理
(8) 課題研究

3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)から(7)までについては,履修する生徒の実態に応じて適宜選択させるものとする。指導に当たっては,第2章第4節第6の「数学B」及び第7の「数学C」の内容等を参照し,必要に応じて,これらの科目の内容を発展,拡充させて取り扱うものとする。
(2) 内容の(1)から(7)までの取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)から(3)までについては,それぞれ「数学B」の内容の(2)から(4)までを扱うこと。また,内容の(1)については,空間における直線や平面の方程式も扱うこと。
イ 内容の(4)から(7)までについては,それぞれ「数学C」の内容の(1)から(4)までを扱うこと。
(3) 内容の(8)については,第2章第4節第1の「数学基礎」の内容等を参照するとともに,「理数数学I」,「理数数学II」又は「理数数学探究」の(1)から(7)までの内容を更に発展,拡充させた課題を適宜設定し,適切な時期に実施するものとする。指導に当たっては,講読研究,データの整理・分析又は数学的実験など適切な方法を用いるよう配慮するものとする。

第4 理数物理

1 目   標
 物理的な事物・現象についての観察,実験や課題研究などを行い,自然に対する関心や探究心を高め,物理学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の系統的な理解を深め,科学的な自然観を育成する。

2 内   容
(1) 波
(2) 力と運動
(3) 熱とエネルギー
(4) 電気と磁気
(5) 物質と原子
(6) 原子と原子核
(7) 課題研究

3 内容の取扱い
(1) 内容の構成に当たっては,物理学の基本的な概念の形成と科学の方法の習得が無理なく行われるようにする。指導に当たっては,第2章第5節第4の「物理I」及び第5の「物理II」の内容等を参照し,必要に応じて,これらの科目の内容を発展,拡充させて取り扱うものとする。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,「物理I」の内容の(2)の加えて,光の波動現象の観察,実験も扱うこと。
イ 内容の(2)については,「物理I」の内容の(3)のア,イの(ア)(イ)及びウ並びに「物理II」の内容の(1)を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,「物理I」の内容の(3)のイの(ウ)(エ)(オ)及びウ並びに「物理II」の内容の(3)のアを扱うこと。
エ 内容の(4)については,「物理I」の内容の(1)並びに「物理II」の内容の(2)を扱うこと。
オ 内容の(5)については,「物理II」の内容の(3)のイに加えて,半導体素子の特性の実験も扱うこと。
カ 内容の(6)については,「物理II」の内容の(4)を扱うこと。
キ 内容の(7)については,「物理II」の内容の(5)を更に発展,拡充させて扱うこと。

第5 理数化学

1 目   標
 化学的な事物・現象についての観察,実験や課題研究などを行い,自然に対する関心や探究心を高め,化学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の系統的な理解を深め,科学的な自然観を育成する。

2 内   容
(1) 物質の構成
(2) 物質の種類と性質
(3) 物質の変化
(4) 物質の構造と化学平衡
(5) 生活と物質
(6) 生命と物質
(7) 課題研究

3 内容の取扱い
(1) 内容の構成に当たっては,化学の基本的な概念の形成と科学の方法の習得が無理なく行われるようにする。指導に当たっては,第2章第5節第6の「化学I」及び第7の「化学II」の内容等を参照し,必要に応じて,これらの科目の内容を発展,拡充させて取り扱うものとする。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,「化学I」の内容の(1)を扱うこと。
イ 内容の(2)については,「化学I」の内容の(2)に加えて,物質の合成実験も扱うこと。
ウ 内容の(3)については,「化学I」の内容の(3)を扱うこと。
エ 内容の(4)については,「化学II」の内容の(1)を扱うこと。
オ 内容の(5)については,「化学II」の内容の(2)に加えて,新素材に関する実験も扱うこと。
カ 内容の(6)については,「化学II」の内容の(3)を扱うこと。
キ 内容の(7)については,「化学II」の内容の(4)を更に発展,拡充させて扱うこと。

第6 理数生物

1 目   標
 生物や生物現象についての観察,実験や課題研究などを行い,自然に対する関心や探究心を高め,生物学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の系統的な理解を深め,科学的な自然観を育成する。

2 内   容
(1) 生命の連続性
(2) 環境と生物の反応
(3) 生物現象と物質
(4) 生物の分類と進化
(5) 生物の集団
(6) 課題研究

3 内容の取扱い
(1) 内容の構成に当たっては,生物学の基本的な概念の形成と科学の方法の習得が無理なく行われるようにする。指導に当たっては,第2章第5節第8の「生物I」及び第9の「生物II」の内容等を参照し,必要に応じて,これらの科目の内容を発展,拡充させて取り扱うものとする。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,「生物I」の内容の(1)に加えて,遺伝情報と分化との関係も扱うこと。
イ 内容の(2)については,「生物I」の内容の(2)を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,「生物II」の内容の(1)に加えて,バイオテクノロジー,タンパク質に関する実験も扱うこと。
エ 内容の(4)については,「生物II」の内容の(2)を扱うこと。
オ 内容の(5)については,「生物II」の内容の(3)を扱うこと。
カ 内容の(6)については,「生物II」の内容の(4)を更に発展,拡充させて扱うこと。

第7 理数地学

1 目   標
 地学的な事物・現象についての観察,実験や課題研究などを行い,自然に対する関心や探究心を高め,地学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の系統的な理解を深め,科学的な自然観を育成する。

2 内   容
(1) 地球の構成
(2) 地球の活動
(3) 地球の歴史
(4) 大気・海洋の構成と運動
(5) 宇宙の構成と進化
(6) 課題研究

3 内容の取扱い
(1) 内容の構成に当たっては,地学の基本的な概念の形成と科学の方法の習得が無理なく行われるようにする。指導に当たっては,第2章第5節第10の「地学I」及び第11の「地学II」の内容等を参照し,必要に応じて,これらの科目の内容を発展,拡充させて取り扱うものとする。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,「地学I」の内容の(1)のア,イの(ア)及びエに加えて,岩石の偏光顕微鏡観察も扱うこと。
イ 内容の(2)については,「地学I」の内容の(1)のイの(イ)及びエ並びに「地学II」の内容の(1)のア,イの(ア)及び(2)のアの(ア)に加えて,プリュームテクトニクスも扱うこと。
ウ 内容の(3)については,「地学I」の内容の(1)のウ及びエ並びに「地学II」の内容の(1)のイの(イ)に加えて,地質図の実習も扱うこと。
エ 内容の(4)については,「地学I」の内容の(2)のア及びウ並びに「地学II」の内容の(2)のアの(イ)及びイを扱うこと。
オ 内容の(5)については,「地学I」の内容の(2)のイ及びウ並びに「地学II」の内容の(3)を扱うこと。
カ 内容の(6)については,「地学II」の内容の(4)を更に発展,拡充させて扱うこと。

第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い


1 理数に関する学科における指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 「理数数学I」及び「理数数学II」については,原則としてすべての生徒に履修させること。
(2) 「理数物理」,「理数化学」,「理数生物」及び「理数地学」については,これらのうちから,原則として,3科目以上をすべての生徒に履修させること。
(3) 「理数数学II」及び「理数数学探究」については,原則として「理数数学I」を履修した後に履修させること。
(4) 各科目の指導に当たっては,数理現象の理解や多数の計算例による法則性の認識及び観察,実験の過程での情報の収集・検索,計測・制御,シミュレーション,結果の集計・処理などのために,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的に活用すること。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 観察,実験,野外観察,調査などの指導に当たっては,特に,事故防止について十分留意するとともに,生命の尊重や自然環境の保全に関する態度の育成に留意すること。また,使用薬品などの管理及び廃棄についても適切な措置を講ずること。
(2) 「理数物理」,「理数化学」,「理数生物」及び「理数地学」の環境問題や科学技術の進歩と人間生活にかかわる内容等については,自然科学的な見地から取り扱うこと。