本稿では、まず、8月に公表された中教審教育課程企画特別部会「論点整理」に関する批判的検討を行い、議論されている教育改革の問題点を洗い出す。そして、その克服に向けて、日本教育工学会に新設された「能力規準と評価法開発」のSIGが果たす役割と、その中でのシミュレーション&ゲーミング手法の位置づけについて述べる。そして、筆者が既に提案している「問題解決力の縦糸・横糸モデル」の概要と、前述した問題点克服のための今後の研究の方向性について述べる。そこでは、特に、教科横断的資質・能力の育成と教科指導との関係について、問題解決スクリプトや教科固有の見方・考え方と、領域固有の内部知識との関係を明確化し、インフォームドな指導を可能にするための研究の必要性を強調した。
本研究では,問題解決力を育成するための能力評価規準と評価手法を開発するために,アクティブラーニングの代表的な手法とされている話し合い活動と,ゲーミング・シミュレーションによる手法とを比較検討する.
本稿では,学習モデル(図6)における「1思考モデルの認知」について,発話記録および事後の聞き取りを解析することで,フィードバック系における学習者の試行の特徴量およびフィードバックの要目の抽出を試みるための実験計画を記述する.
本研究では,日本語作文指導における先述の問題点への介入手段として,正解のない問題解決を扱い,内部知識を理解・獲得しながら活用する同フレームワークの利用が有効だと考える.本稿では,松田(2015b,c)の問題解決のフレームワークに基づく日本語学習支援のための教材作成を企図し,作文における問題解決の縦糸・横糸モデルを提案,教材の一部基本方針および内部知識等の検討を行う.同時に,作文の実践で利用することが可能なゲーミング教材の形式,課題等についても考察する.